シンガポール、ほぼすべての新型コロナウイルスに関する規制を撤廃へ

シンガポール保健省(MOH)は2023年2月9日、新型コロナウイルス対策をさらに緩和させることを発表しました。

主なポイントは以下の通りです。

①DORSCONをグリーンに引き下げ

②マスク着用義務の廃止など、コミュニティ対策の緩和

③Trace Together(TT)とSafeEntry(SE)の緩和

④水際対策の緩和

⑤永住権、ロングタームパス、ワークパス取得のためのワクチン接種要件の維持

詳しくは以下のMOH発表のニュースハイライトの和訳をご覧ください。

  原文(英語)

https://www.moh.gov.sg/news-highlights/details/singapore-to-exit-acute-phase-of-pandemic

      シンガポール、パンデミックの最終段階へ

2023年2月9日

年末年始の旅行が増え、北半球は冬季となり、中国がゼロコロナ政策から脱却したにもかかわらず、シンガポールの新型コロナウイルスの感染状況はここ数ヶ月安定しています。そのため、残り少ない新型コロナウイルス対策をさらに緩和させ、新型コロナウイルスをエンディミックとして、ニューノーマルを確立させられるようになりました。

とはいえ、ウイルスは進化し続けるので、今後も繰り返し感染の波が来ることが予想されます。したがって、新型コロナウイルスのニューノーマルは静的なものではなく、必要に応じて対策を調整することになります。しかし、よほど危険で悪性の亜種でない限り、ニューノーマルから大きく逸脱しない適切なレベルの対策で、その後の波を管理し、普通に生活し続けることができるはずです。

・シンガポールの状況についての最新情報

国民は高いレベルの免疫を獲得しており、重度の新型コロナウイルス感染から十分に保護されています。人口の約80%が最低限の免疫を獲得しており、約半数が最新のワクチン接種を完了しています。また、多くの人がこれまでに新型コロナウイルスに感染し、無事に回復しています。これにより、新型コロナウイルスの感染による重症化や、また死亡に至るリスクは非常に低くなり、インフルエンザや肺炎球菌感染症など、他の呼吸器系疾患と同程度のリスクとなっています。2023年1月、新型コロナウイルスに関連する1日の入院患者数は100人を下回り、集中治療室(ICU)の新型コロナウイルス関連の患者数は1桁台で推移しています。

・DORSCONをグリーンに引き下げ

Disease Outbreak Response System Condition (DORSCON)の枠組みは、現在の疾病の状況を示すものです。世界的・地域的な状況が安定していること、特にワクチン接種者においては病状が軽いこと、医療施設や医療関係者のキャパシティや日常生活への影響が最小限であることから、2023年2月13日から現在のDORSCONレベルをイエローからグリーンに引き下げます。

・コミュニティ対策の緩和

2023年2月13日より、以下のコミュニティ対策を緩和します。

①マスク着用

新型コロナウイルス対策の暫定規制の改定により、公共交通機関や屋内の医療・介護施設でのマスク着用は不要となります。

ただし、医療・介護施設において患者と接する屋内の場所では訪問者・スタッフ・患者のマスク着用は維持されます。(詳細はAnnex A とAnnex Bをご参照ください。)これは病院の病室、クリニック、老人ホームなどが該当します。これは新型コロナウイルス規則として義務付けられるものではなく、感染症から患者と医療従事者をよりよく守るためにMOH(保健省)が課す要件となります。

医療機関以外でもシンガポール食品庁が食品安全上の理由から食品取扱者にマスクや唾液ガードの着用を義務付けているように、他の当局もマスク着用を義務付ける場合があります。また、民間企業では、職場の安全衛生や事業継続の観点から、会社の方針としてマスク着用を維持することもあります。

➁ヘルス・アドバイザリーの改訂

2023 年 2 月 13 日より、感染時の行動指針となるプロトコル 1-2-3 を廃止します。今後、体調不良者や感染者は、以下のアドバイザリーに従ってください。

1)急性呼吸器感染症(ARI)の症状がある医療的弱者(高齢者や慢性疾患を持つ人など)、およびARIの症状が重く、長引きまた悪化している人は、医師の診察を受けるようにしてください。新型コロナウイルスの重症化リスクが高い人に対する最新のアドバイザリーは、こちらからご覧いただけます。

2)軽度のARI症状のある方は、症状が治まるまで自宅で安静にしてください。

3)症状があるにも関わらず外出する必要がある場合、あるいは無症状でも新型コロナウイルス検査で陽性の場合、社会的責任を果たす必要があります。社会との関わりを最小限にし、マスクを着用し、人混みを避け、病院や老人ホームなどの訪問を控え、高齢者と接触しない、などの対策を講じるべきです。

・Trace Together(TT)とSafeEntry(SE)の緩和

TTとSEは、パンデミックの急性期には接触者の追跡を強化し、コミュニティの安全管理措置の実施を可能にするなど大きな役割を果たしました。この数ヶ月、パンデミックの状況が安定するにつれ、政府は TT と SE を段階的に縮小してきました。感染者に TT データの提出を求めることはなくなり、SE データは収集されなくなりました。MOH は TT と SE の識別可能なデータをサーバーとデータベースからすべて削除しました。

しかし、2020 年 5 月の殺人事件に関わる TT データは、無期限に保持されます。これは、殺人事件のような重大事件では特に必要になるためで、事件終了後何年も経ってから有罪判決や量刑に異議を唱える法的申請がなされることがあり、シンガポール警察(SPF)はデータの開示義務を負う可能性があるためです。

ただし、より危険な新種が発生した場合に備えて、TT システムと SE システムの両方を再稼働できる状態にしておくことは重要です。個人と企業が TT と SE の設定と再登録を行う際の手順を最小限に抑えるために、名前、ビジネス UEN、携帯電話番号などの登録詳細はシステムに保持されます。

一般の方はTTアプリを、企業の方はSE(ビジネス)アプリをアンインストールすることができます。TTアプリとSE(ビジネス)アプリは、App Store、Google Play Store、Huawei App Galleryで引き続き利用でき、必要に応じてすぐに再アクティベートすることができます。2023 年 2 月 13 日から 3 月 12 日まで、TT トークンを返却することが可能になります。一般の方は、島内108のコミュニティクラブ/センター(CC)に設置されるTTトークン カウンターでトークンを返却することができます。万が一、接触者の追跡が再開された場合にトークンをリサイクルし、必要な人に配布できるよう、返却を強くお勧めします。

・水際対策の緩和

2022年4月にワクチン接種を条件とした渡航の枠組み(VTF)を立ち上げ、安全な海外渡航の再開を促進してきました。世界の新型コロナウイルスの状況が安定し改善していること、輸入症例が医療キャパシティに与える影響が少ないことを考慮し、すべての新型コロナウイルスに関わる水際対策を廃止する予定です。2023年2月13日より、ワクチン接種未完了の旅行者についてもシンガポールに入国する前の出国前検査の陰性証明の提示が不要になります。ワクチン接種未完了の短期滞在者は、旅行保険への加入も不要となります。ただし、新たな重症例や輸入症例によってシンガポールの医療キャパシティが圧迫される兆候など、懸念される国際的な進展があった場合に備えて再稼働できるようVTFは存続します。

MOHは、黄熱病、中東呼吸器症候群、エボラ出血熱など、懸念される他の感染症についても引き続き渡航者のスクリーニングを行っています。空路または海路でシンガポールに入国するすべての旅行者(シンガポール居住者を含む)、および陸路で入国する短期滞在者は、引き続きSGアライバルカードの電子サービスを通じて健康申告書を提出する必要があります。旅行者は、シンガポール入国前にICAのウェブサイトで最新の水際措置を確認することをお勧めします。

・新型コロナウイルスと共存するための主要な予防策としてのワクチン接種

永住権、ロングタームパス、ワークパス取得のためのワクチン接種の要件は維持

新規の永住権、ロングタームパス、ワークパスの申請、および建設、海洋造船、プロセスセクターの一部のワークパーミットホルダーとSパスホルダー、または寮に居住する外国人労働者のパスの更新に対する新型コロナウイルスワクチン接種要件は、国内の高いワクチン接種率を維持するために引き続き実施されます。2023年4月1日以降、新型コロナウイルス感染症から回復したばかりの人も、新型コロナウイルスワクチン接種の要件から一時的に免除されることはありません。申請者は、申請前にICAおよびMOMのウェブサイトにて最新の要件を確認することをお勧めします。

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