2024年シンガポール建国記念日首相スピーチ:経済成長と雇用の創出に注力
シンガポールのローレンス・ウォン首相就任後初の建国記念日スピーチでは、経済成長と雇用の創出、生活コストの安定、社会的支援の強化の3つのポイントが強調された。
2024年8月9日、シンガポールは59回目の建国記念日を迎えた。建国記念日当日のウォン首相のスピーチの要点は以下の通り
■経済成長と雇用創出
ウォン首相は、シンガポールは先進国であるため以前のような急成長は期待できないが、依然として経済成長と向上を目指し、イノベーションと生産性を通じてこれを実現する必要があると述べた。そのため、ロボティクスやAIといった新技術への研究開発に投資する他、チャンギ空港第5ターミナルやトゥアス港などの大規模なインフラプロジェクトを進め、世界的な物流ハブとしての競争力を強化していくとした。これらの戦略は功を奏し、シンガポールはアジアでの事業展開において安定した信頼できる基盤と見なされており、過去1年間で、ファイザー、現代自動車、グローバルファウンドリーズ、マースクなど、多くの国際企業がシンガポールに新しい施設を開設した事が言及された。さらに、バイオンテックは、アジア太平洋地域で初のmRNA製造施設をシンガポールに開設予定である。これらの投資により、シンガポール経済は前進し、新たな雇用が創出される見込みであるとした。
■生活費の安定
インフレーションが世界的に懸念されている中、シンガポールは自国通貨の強さを維持することで、価格上昇の影響を最小限に抑えている事が言及された。住宅の手頃な価格を保つために、政府は追加の政策を導入し、特に若年層や新婚家庭が安心して住宅を購入できるよう支援しており、これを継続していくとした。また、公共交通機関の料金抑制や基本的な生活必需品の価格管理についても触れ、安定的な住民生活に向けた生活コストの安定を図っていくとした。
■社会的支援の強化
ウォン首相は、多くの人が、子どもや高齢の親を同時に世話する「サンドイッチ世代」の状況に直面している事に触れ、社会インフラへの投資の強化に言及した。シンガポールでは、過去2年の国家予算で、低賃金労働者の支援、脆弱な家庭のサポート、退職後の生活の充実を図るためのさまざまな措置を講じてきた。また、「ヘルシア・シンガポール」や「エイジウェル・シンガポール」など、高齢者のケアを強化する全国的なイニシアチブも開始している。ここからさらに進んで、ウォン政権では、社会的セーフティネットを強化するためにさらなる措置を講じる予定である事が述べられた。家族への支援を強化し、シンガポール人が職業の挫折からより強く立ち直るのを支援するためのいくつかの施策を、8月18日に予定されているNational Day Rallyで共有する予定であるとした。