2024年シンガポールNational Day Rally首相スピーチ

シンガポールのローレンス・ウォン首相は、2024年8月18日のNational Day Rallyのスピーチにて、経済、家族生活、住宅、教育に関する今後の政策について述べた。

原文:https://www.pmo.gov.sg/Newsroom/National-Day-Rally-2024

2024年8月9日の建国記念日の祝典に続く形で実施された、同18日(日)のNational Day Rallyでの、ウォン首相のスピーチの要点は以下の通り

■経済

・複雑化する国際関係、急速な技術革新、気候変動という環境下でシンガポールが繁栄と成功を続けていくには政策の大規模な再設定が必要であり、数年にわたって様々な政策を展開していく

・シンガポールとしては経済成長を追求していくが、これは、すべてのシンガポール国民により多くの機会とより良い生活の質を提供する方法としての経済成長であり、成長そのものを目的とはしていない

・多くの先進国が、重要な産業を再構築し、世界のサプライチェーンを自国に有利な形で再編成するアプローチを取っている。この中で競争力を維持するために、イノベーションと生産性の最前線を押し進める目的で、研究開発や新しいインフラや技術に多額の投資を行ってきた。

・多くの多国籍企業が、この不安定な世界の中で、シンガポールを安定して信頼できるパートナーと見なしている状況があり、こうした海外からの投資は引き続きひきつける必要がある

規制緩和:こうした前提の中で、シンガポールは規制を最小限に抑える重要性を理解しており、必要な場合にのみ規則を課してきたが、時間が経つにつれて、規則は増え、時には過剰になっている

⇒複数の省庁をまたいで、特に中小企業に向けた規則やプロセスを徹底的かつ積極的に見直し、可能な限り削減していく

・シンガポール国民の国際競争力の強化:

「スキルズフューチャー・レベルアップ」プログラム。生涯学習を推進するため、40歳以上のすべてのシンガポール国民がフルタイムで学ぶために仕事を離れた場合、月額最大3,000ドルの手当を受け取ることができる。また、パートタイムのコースに参加する人にも一部のトレーニング手当を拡張。

「スキルズフューチャー・ジョブシーカーサポート」制度。低所得者層や中所得者層の労働者を支援する。失職した場合の一時的な経済的支援を合計で最大6,000ドル、最大6ヶ月の期間にわたって支給。

■家族生活

・幼児教育

幼稚園の定員について引き続き拡大を進め、さらに多くのセンターを設立する。また、全日制の保育費用が小学校の費用と同じくらい手頃になることを目標に、政府が支援する幼稚園の料金を引き下げる。具体的には、政府が支援する幼稚園での全日制保育費用を、共働き家庭にとってはSGD 300/月程度に抑える。また、収入が低い家庭には、追加の補助金が提供され、より経済的に恵まれない家庭では、保育費用が月に3ドル程度になることもある。

・父親の育児休暇

2025年4月1日から、父親の育児休暇4週間を義務化

・シェアード・ペアレンタル・リーブ(Shared Parental Leave)

2025年4月1日以降(に子供が誕生する場合):新たに6週間のShared Parental Leaveが提供され、2026年4月1日以降はこれが10週間まで増加。追加の10週間分の費用は政府が負担。

2026年4月1日以降には、産休育休として、父親には4週間、母親には16週間が与えられ、それにさらに追加する形でShared Parental Leaveとして両親で10週間を共有することができる。(=合計30週間、つまり約7.5ヶ月の有給休暇)

・大家族に向けた支援制度

第三子の出産を考えている人々に対する支援を強化するとともに、すでに3人以上の幼い子供を持つ親への支援を増加

■住宅

HDBフラットをより手頃な価格にするための努力(=供給を増やす)を続けていく。

・独身者の住宅購入補助

現在、既婚の子供とその親が一緒に住むため、または近くに住むために新しいフラットを購入する場合、BTOフラットへの優先アクセスが提供されているが、この優先措置を独身の場合にも適用(来年の中頃より実施)

■教育

・現在のGEPの形態を小学校で廃止し、すべての小学校で高能力の学生を伸ばすための新しいアプローチに置き換える。

・より多くの学生が母国語を上位科目として選択できるようにするため、基準を引き下げる。

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2024年シンガポール建国記念日首相スピーチ:経済成長と雇用の創出に注力