【海外進出を現地に学ぶシリーズ・食品業界編】Omni Groupの代表取締役Phua Geok Woon氏との対談インタビュー

背景

  • Omni Groupは、1989年に設立。現在、シンガポールにおける冷凍食品の大手卸業者。

  • 当グループは、過去数年間で冷凍食品と肉加工産業において主要な市場プレーヤーへと成長しました。

  • 過去、 Omni Groupは 卸売業(輸入業者から製品を受け取り、小売店に卸し)のみ扱っていました。しかし現在は、ブランドから自身で直接輸入しており、利益率を大幅に拡大。

  • 輸入国の中で、ブラジルが重要市場となります。

  • これ以降、事業分野を拡大。初めはフードコートへのみ製品を提供していましたが、今では船具商、レストラン、家庭用品へも提供。

  • 当社は、3社合わせて130人の従業員を抱え、過去5年間で売上高は250倍となりました。

Q1) 新型コロナウィルスによる影響は?

多様な顧客基盤を持ち得ている為、売上は新型コロナウィルスの影響をそれほど受けていません。ホテルやレストランはひどい被害を受けましたが、スーパーや家庭用品は需要が急増。 以前は、B2B市場に焦点を置いていましたが、新型コロナ以降はB2Cへの拡大を決めました。

Q2) 今後、シンガポールのF&B市場に影響を及ぼす変化は?

今後は、どの業種の人もより注意を高める必要があるとPhua氏は指摘。

また、新型コロナウィルスの影響で、自炊をする人が増えている傾向があります。結果、「代替案」として家庭用品市場に焦点を続けることを検討。この市場の利益率も他に比べ高くなっています。

Omni Groupは、家庭用品をオンラインプラットフォームを通して販売。高賃貸料が主な理由と、非常にリスキーな為、現在実店舗を持つ計画はありません。シンガポールでは、賃貸料が全費用の内、高い割合を占めるからです。

Q3) 今後5年間の会社の行く末は?

Omni Groupは、加工と冷蔵室用の新しい工場を建設中。人材不足から、加工過程を できるだけ自動化すると言う計画。

当社は、既にDaifukuに自動保管・検索システム(ASRS)の開発を依頼済。Daifukuは、高品質のサービスをリーズナブルな価格で提供するとして、業界内では非常に有名です。そして、この費用に中小企業開発助成金を利用することができます。

Omni Groupはまた、チルド食品や、日本やオーストラリア産のプレミア食品の輸入を検討中。

また、和え物(マリネ)食品も検討しています。現在、和え物を行う十分なスペースがないため、肉製品の切断/包装にのみ焦点を当てています。

Q4) 船具商事業について

この市場のビジネスは、新型コロナウィルスの影響をそれほど受けてはいません。クルーズ事業は一時事業停止、一方オイルやガス事業は低迷が続いています。しかし、全体事業の売上は、新型コロナウィルス以前の80%を維持しています。

倒産した小規模サプライヤーもかなりの数あり、これにより顧客からの注文が増えたとPhua氏は指摘。

Q5) 事業を開始した当時と比べ、F&B産業で見られる変化は?

Phua氏は、若いころから事業を手伝い始めました。初めて公式に会社に就職した時、会計システムのデジタル化等様々な変更を実行しました。

F&B 産業は、過去数年間において競争率を高めています。過去、3-5の輸入業社がいたところ、現在だれでも輸入業者になれます。

結果として、自身の配送ネットワークを確立し、製品の質と価格を確保することが非常に重要となります。

Q6) Omni Groupは、競争の激化にどのように適応したか?

Omni Groupは古くから事業をしているので、安定した顧客基盤があります。結果、一括購入が可能で、輸出業者は好んで販売をしてくれます。

又、当社は強い財務力を有しています。肉製品市場は非常に揮発性が高く、需要と供給により日によって価格が異なります。しかし、Omni Groupは、価格が低いときに一括購入をすることで、 リスク回避をする財務手段を有しています。

また、当社は市場を良く理解しており、需要供給を正確に予測,又貯蔵費用やその他要因を管理することができます。

Q7) 労働法強化による影響は?

これら労働法強化は、当社の業種を焦点としていない(ITや金融業界に対する強化が強い)為、そこまで影響は受けていません。基本的に外国人Sパスもしくはそれ以下しか雇用していません。

Q8) 日系企業との協働

Omni Groupは、今まで日系企業と一緒に働く機会がありませんでした。

加工に必要な機械をまだ購入していないので、機会があれば、日系企業と機械の面で協働できるでしょう。

また、日本の肉製品の取引も検討中。

日本の製品は高価なものが多いので、Omni Groupは現在の所、日本製の製品の取り扱いはありません。輸入を開始する前に 、ある一定の市場規模がある事を明確にしなければ、キャッシュフロー問題に陥るでしょう。

また、コストを最低限に抑える為に、一つのコンテナに入れる数種類の製品を集めなければなりません。

Omni Groupは日本製品に関する十分な知識を持ち得ていないことを認識しています。当社は、常に何か新しいこと始める前に、それに関して自信を持ってから始めたいと考えます。

Q9) 3つの優先項目

  • 自動化による人件費削減

  • 新たな製品クラスの導入。Omni Groupは、製品を中級クラスから高級クラスへ移行を検討。

    • 中級クラスの肉製品は通常ブラジル産が多く、高級クラスは日本やオーストラリア産が多いです。

    • シンガポールのホテルは高級クラスの肉製品だけを購入する為、ホテル部門だけを対象にした企業もあります。一方、Omni Groupはフードコートや日々の消費用等の肉製品を対象としています。

  • より付加価値の高い製品やサービスの提供

    • 当社の顧客も人手不足危機に陥っています。肉製品の切断/加工を行う人手が不足。その結果、事前にカットされた/加工肉への重要が高まっています。

    • 事前に肉をマリネして欲しいという顧客から当社への依頼もかなりあります。しかし、現在、場所が不足していることから、その要求を受け入れることができません。

 

Q10) 日系企業へのメッセージ

シンガポール市場は、まだまだ可能性を秘めているとOmni Groupは信じています。投資やコラボレーションの機会があれば、進んで取り入れたいです。

Previous
Previous

【海外進出を現地に学ぶシリーズ・建設業界編】 DB&B Pte Ltd のBilly Siew氏, Jeanette Siewさんとの対談インタビュー