運輸物流

東南アジアの運輸物流産業は、急速な経済成長と電子商取引の拡大に伴い、大きな変革期を迎えています。ASEANの経済統合や物流インフラの整備が進む一方で、地域ごとの発展度合いの差や輸送インフラの未整備など、課題も残されています。

ASEAN経済共同体と物流改革

ASEAN経済共同体(AEC)の設立は、東南アジアの物流セクターに大きな変革をもたらしています。2015年末に発足したAECは、域内の経済統合を深化させ、効率的な国際物流の実現を目指しています。この取り組みの一環として、東西経済回廊や南部経済回廊などの幹線道路整備が進められ、域内の物流ネットワークが強化されつつあります。AECの形成により、ASEAN10カ国は世界第7位の経済規模を持つ一大市場となり、中国やインドに匹敵する経済圏の創出が期待されています。しかし、各国間の発展格差や政治的立場の相違など、統合への課題も残されており、これらの克服がASEANの更なる物流改革と経済発展の鍵となっています。

電子商取引の急成長と物流サービス

東南アジアにおける電子商取引の急成長は、物流サービスの需要を大幅に増加させています。Eコマース市場の拡大に伴い、信頼性の高い迅速な配送サービスへの要求が高まっており、物流プロバイダーは効率的なラストマイル配送や越境物流ソリューションの提供に注力しています。この成長は、消費者の利便性追求や商品選択肢の拡大によって推進されていますが、同時に都市部の交通渋滞や迅速な配送への期待など、複雑な課題も生み出しています。さらに、越境Eコマースの発展は、国際的な通関手続きや規制遵守に対応できる物流パートナーの需要を高めており、新たな市場機会を創出しています。

東西回廊と南部回廊の輸送ルート

東西回廊は、東南アジアを横断する重要な輸送ルートとして注目されています。このルートは、ベトナムのダナンからタイを経てミャンマーに至る全長約1,450kmの陸路輸送網を形成しています。特に、タイのバンコクからベトナムのハノイまでの区間では、従来の海上輸送に比べて輸送日数の短縮が期待されています。一方、バンコクからミャンマーのヤンゴンへの輸送も可能となり、ミャンマーの工業団地への物流サービスが展開されています。しかし、ラオス経由のルートでは保税通過の課題が残されており、またミャンマー側の道路状況や規制など、インフラ面での課題も存在します。これらの課題解決に向けて、日系物流企業を含む各国の事業者が、東西回廊を活用した効率的な輸送網の確立に注力しています。

案件事例

シンガポールのフォーワーディング企業の売却に伴うファイナンシャルアドバイザリー支援

シンガポール本社の、フォーワーディング企業の売却に際して、売主のファイナンシャリーアドバイザリー支援を実施。取引ストラクチャー検討、戦略的バイヤー候補先の調査、価格交渉支援、プロジェクトマネジメント等、ディール全体と通して支援。

クライアント企業:シンガポールのフォーワーディング企業

国と地域:シンガポール

日本の上場物流会社によるシンガポールM&A候補先調査

日本の上場物流会社を営う企業の東南アジア市場への拡大戦略に伴う、シンガポール市場のM&A候補先調査の実施及びタッピング支援を実施。自社戦略にフィットする買収先の特定を実現。

クライアント企業:日本の上場物流会社

国と地域:シンガポール

運輸物流業の労務課題に関する政府との調停

シンガポールの運輸物流業の労務問題に関する政府からの調査において、政府向けの説明資料や背景説明を通じた調停を支援

クライアント企業:シンガポールの運輸物流業

国と地域:シンガポール

業界・事例

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